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家の庭の竹薮の下に、木陰を好むわさびの群がいくつかあります。

田屋家ではこの葉わさびを大切にしていて、春になると葉の部分だけ取って(毎年、根から抜かずに葉だけを取って残します)葉わさび漬けを作るのです。新鮮な葉わさびは洗って、切り、さっと湯がいて塩を振ってタッパーなどの密封容器に入れておきます。
約一時間後、この密封容器の蓋を取ってみて葉わさびの色が、くすんだ緑になり、わさびの刺激がぷ〜ときたら成功です。この一時間後に、鼻にツーンと刺激がぬ抜けるのが成功の秘訣で、この時にわさび特有の刺激がないとボケたりんごや湿気たせんべいのようで締まりのないわさび漬けになってしまいます。なので一時間後に蓋を開ける時は、一瞬緊張とわさびの刺激の衝撃が走ります。
今年一番の葉わさび漬けは、わさびの刺激のぷ〜んが、一時間後にこなくてあえなく失敗。
葉わさびの刺激に迫力がなく、がつんが無くて、ツーンも弱々しいのです。
一年ぶりに作ったので勘がつかめません。
どうも湯がく時間が、長過ぎたようです。
葉わさびの湯がく時間に気をつけて、2回、3回と挑戦していくと、一時間後のツーンが強くなってきました。あまりの刺激の強さで涙まで出ます。この刺激が強ければ強いほど、葉わさび漬けにこだわる田屋のご主人様(富士男)のご機嫌が良いのです。
ぷ〜んが、が〜んになり、がつんとその刺激が頭を殴るようになれば、葉わさび漬けが大好きなご主人様の機嫌は、絶好調!酒粕で和えて、醤油や塩などお好みの調味料で味を整えていただきます。
酒の肴によし、旬の鰹のたたきの薬味によし、ご飯の友にと食卓の脇を固めます。
こんな葉わさび漬けは、田屋家の春の年中行事なのです。

葉わさび漬けが、上手にできるようになると桜の花がようやく咲き始めます。
岩手山に鷲(残雪)が現れて、田んぼには水が張られ、りんごの花が咲き本格的な春がフル稼動します。
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